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(架空の人物・美濃達夫さんから本書をご紹介する、という設定で書いております)
珍しいですね、健康に関する本をお探しになるのは。
「ええ、取引先の方が健康面で最近少し気になることがあるとおっしゃって。寝つきが悪くなって、寝不足気味のせいかだるさも続いてるということでした」
お医者さんの診察は受けておられるんですか?
「診てもらって、自律神経の軽い不調だろうと言われたそうです」
で、お医者さんはどうしろと言ったんでしょう?
「規則正しい生活を送りなさい、と」
…それができなくて困ってるんでしょうに。
「まったくです」
それで今、その方が自律神経について調べておられる?
「はい。私も、何か参考になる本があれば紹介してさしあげたいと思って」
そうなんですか。医療関係となると素人の私が下手なことは言えませんが、あくまで「自律神経と健康の関係について楽しく読める本」でよければ、小林弘幸・一色美穂『まんがでわかる自律神経の整え方』はどうでしょうか。
「『まんがでわかる』ということは全編マンガですか?」
そうです。漫画家の一色美穂氏と担当編集者K氏が医師・研究者の小林弘幸氏から自律神経について教わるという体裁のコミックエッセイです。
「概要はどんな感じですか?」
自律神経とは何ぞや?から始まり、自律神経と心身の健康がどんなふうに結びついているか・自律神経が乱れたらどうやって整えたらいいか・自律神経が整う夜の過ごし方・同じく朝の過ごし方・自律神経を味方につける仕事のやり方が説かれています。出だしを手短にまとめるとこんな感じ。
━喫茶店にて打ち合わせ中━
一色氏「疲れやすいし便秘気味だし、体のあちこち調子悪いです。歳のせいですね。Kさんは若いからはつらつとしてていいなぁ」
K氏「私今年で50歳ですよ」
一色氏(ブーッ!と飲み物吹く)(私より10歳以上年上じゃん…)
K氏「実はですね…」
━二人してとあるクリニックを訪ねる━
小林氏「それは自律神経の乱れですね」
K氏「私も数年前まで一色さんと同じように体のあちこちが不調だったんですよ。そんなとき小林先生の本に出会ってこの若さと美貌を取り戻したんです」
一色氏(自分で言った…)
そこから、自律神経が乱れるとどんな悪影響があるか・どうやって整えるかということを解説しています。
「自律神経を整えるということでしたが、自律神経ってそんなに大事なんですか?」
著者の小林弘幸氏は『結局、自律神経がすべて解決してくれる』という本も出してますから、少なくとも小林氏が自律神経を非常に重要視していることは間違いないでしょう。すべてを解決するかどうかはともかく、心身の健康に自律神経の安定は大事だろうなということは門外漢の私にも想像がつきます。
「自律神経を整えることって色々と努力が必要なんでしょうね」
それなんですが、小林氏は前書きで「人生を変えるのに、努力はいりません」「毎日のちょっとした心がけのみ」と述べています。私はこれを「努力はいらない、工夫だけ」と解釈しています。事実この本で紹介されているノウハウは多大な努力を要するものではなく、ちょっとした工夫や心がけでできるものが大半です。
「例えば寝つきの悪さとかだるさについてはどう書いてありますか?」
美濃さんの取引先の方が悩んでおられることですね。この本には、ぐっすり眠るには夕食を20:00までに済ませる・それが無理なら量を少なめにする、などの方法が紹介されてます。だるさの解消については直接書かれていませんが、「常にだるい」も自律神経の乱れが起こす症状の一つとして紹介されています。
「なにわt4eさんはどう思いましたか?そもそも、なにわt4eさんも健康上のお悩みがあって読まれたんですか?」
いいえ、前から一色美穂氏のファンだったからです(笑)。この方の実話4コマを愛読してたもので、その一色氏がマンガを描いてるならと思って買いました。事実、大変楽しく読めました。
なんかただの水みたいですね。(P.43)
いや今日はさすがに入ってきましたから!!(P.88)
など、4コマで鍛えたマンガ家さんだけあってギャグもしっかり交えてくれてます。 あと「良い睡眠のためには寝る前にスマホやPCを見ないこと」という指摘は耳が痛かったですね。私自身、寝る前もついスマホを見てしまうちょっとしたヘヴィーユーザーなので。
まとめ
この本にあるノウハウを実行したら必ず健康になれるとか人生が変わるとかいうことは断言できません。個人的には、こうした健康本のノウハウは「できることから試す→心身の様子を確かめる→結果に応じて続けるか止めるか決める」というようにすれば、少なくとも大きな失敗にはつながりにくいと思います。「努力はいりません」と小林氏自らうたっていますので、実行するにしてもハードルは低いでしょう。最後、
そしてどうしようもなくイライラしたりクヨクヨしたり心配事で頭がいっぱいになったりした時は…(P.151)
に続くオチには「結局そこかい!」とズッコケましたが、同時に「結局はそれでいいのかもしんないな」と妙に納得もできました。効果の保証はしかねますが、楽しく読めて何らかの参考になりそうな本と言うことでしたらお勧めです。
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