こんにちは。なにわt4eです。お久しぶりの洋書チャレンジ、12回目です。
ミッジ・ユーロ氏は2025年8月、健康上の理由によりツアーをキャンセルしました。詳細は不明ですが、緊急の対応が必要な状態だったようです。
氏のメッセージを拙訳にてご紹介します。
「遠路はるばる、時には国境さえ超えてショウを見に来てくださっている皆さんの支えに、とても感謝しております。皆さんのご計画が台無しになってしまったことを、本当に申し訳なく思います。私は今月予定されていたショウ全てのために力を尽くしていますし、自分に可能な限り皆さんと一緒にいられることを楽しみにしています」
氏はできる限り早く復帰して2026年のUKツアー「ア・マン・オヴ・トゥー・ワールズ」を実施したいとも語っています。
(出典:https://www.bbc.com/news/articles/c24zq8qyrrpo)
氏の一日も早いご回復を、心からお祈り申し上げます。
※お断り
洋書チャレンジの記事において、引用文は特に断りがない限り全て私の訳です。
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まるでハムスター
ウルトラヴォックスで過ごした年月をミッジはこう語ります。
ほぼ5年の間、車輪のハムスターさながらにウルトラヴォックスは突っ走った。リハーサル、作曲、レコーディング、ツアー。ツアーが終わるが早いかリハーサルと作曲に戻って、レコーディングが済んだらまたツアー。(P.107)
ドイツに飛んで1日に15本のインタヴュー、それを3日間ということもあったとか。
実はミッジも語るように(P.107)日本はウルトラヴォックスの音楽を非常に早くからTVコマーシャルに起用した国の一つなんですよ。2025年時点で50代以上の方ならピンと来るかもしれません、サントリー角瓶のCMで使われた「ニュー・ヨーロピアンズ」です。あのとんがったギターが流れる中三宅一生がヘリコプターから身を乗り出すCMは、今思い出してもスタイリッシュでしたね。各種動画サイトで見られるかも?
ただその多忙さはミッジにとってやはり相当な負荷だったようで、
1981年の夏までにはバーンアウトに向かってまっしぐらの状態になっていた。(P.112)
とも語っています。
たまにはトラブルも
ウルトラヴォックスは民主的に運営されていたものの、やはり共同作業にトラブルはつきもの。アルバムのミックス作業中にドラマーのウォーレンが寝坊してさんざん他のメンバーとプロデューサーのジョージ・マーティンを待たせたあげく
「ちょっとドラムの音が気に入らないな」一瞬の静寂……そして部屋にいたみんなウォーレンに飛びかかった。ビリーに至っては殺す気満々だった。「ウォーレン」クリス・モリソンが言った。「そういうことを言いたいんだったらちゃんとミックスの場にいろ、遅れて来るな」(P.118)
まあそりゃ怒りますよね、ジョージ・マーティンがその場を収めてくれたのでよかったですが。
さてウォーレンにはちょっと物騒なエピソードがあります。ジョージ・マーティンが「君たちが死ぬまでにやってみたいことは何だい?」とメンバーに尋ねた時、ウォーレンは何も言わなかったのですが後でこっそりクリス・モリソンにこう語っています。
言っとくけどさクリス、僕が本当にやりたいのは誰かを殺して……ずらかることさ(P.114)
実は彼らのアルバム『カルテット』(←Amazonの紹介ページへ飛びます)の収録曲「カット・アンド・ラン」は犯行現場にたたずむ殺人犯の歌なのですが、もしかしてこれはウォーレンがイメージしたもの? ウォーレンはガンマニアとの記述もあったので(P.114)、サビの歌詞「銃を片手に 電話をしている男を見ろ」はウォーレンのアイデアだったのかもしれません。曲も不穏なイメージ満載のスリリングな名曲です。
この『カルテット』についてはこんな楽しいエピソードもあります。ある時釣りをしていた彼らに、数人の男たちが話しかけてきました。ミッジたちは彼らを「逃亡中の銀行強盗ってとこだろ」と思いました。
さて同じ夜。パブに繰り出すとまたその彼らがいたのです。
彼らの1人が「あんたたちの仕事は何だい?」と尋ねてきた。ちょうどその時ジュークボックスで「リープ・ザ・ワイルド・ウィンド」(引用者注:『カルテット』の1曲目)が流れていた。
私は答えた。「これだよ、これは俺たちの曲なんだ」
彼は言った。「本当かい? 俺たちはあんたたちを逃亡中のチンピラかと思ってたんだよ」(P.119)
のちに彼らはウルトラヴォックスの事務所に世界中からはがきを送るようになりましたとさ。
改めて、ミッジ・ユーロ氏のご回復をお祈りします。
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