「社会という『戦場』では意識低い系が生き残る」(ぱやぱやくん)意識の低さでサバイバル!

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目次

先にまとめから

 意識は低く持ちましょう!

…なんて聞いたらあなたはどう思われますか?

「変化が速くて要求水準も何かと高いこのご時世、意識を高く持たないと取り残されるんじゃないの?」

と、思われるかもしれませんね。そこへ本書の著者・ぱやぱやくんはこんな言葉を投げかけます。

実際の戦場とは異なり、現代社会という「戦場」では、真剣勝負は「ここぞ」という場面までしてはいけないのです。(P.5)
現代社会という「戦場」には二つのタイプの人がいます。いつも真剣勝負を仕掛け続ける「意識高い系」の人。そして、適当に物事を捌いていく「意識低い系」の人。(中略)良い加減を知っている「意識低い系」のほうが、この世の中をサバイブできる可能性が高いのです。(P.7)

「え、ちょっと待ってよ。それどういうこと?」

 そうお思いになったそこのあなた! 意識低くてゆるゆるで、だけど肝心なところはビシッと締める、ぱやぱやくんのそんなサバイバル術満載の本書で楽に、でもしっかり生きる素敵な毎日に飛び込みましょう!

美濃達夫さんとの会話

(架空の人物・美濃達夫さんに本書をご紹介する、という設定で書いております)

「なにわt4eさん、今年(2024年)の暑さは殺人的ですね」

 全くです。さすがに台風10号が通過したら少しだけ落ち着いた気はしますが、「観測史上初」という言葉を何度聞いたか分かりません。

「おかげで頭がボーッとしがちで…もともと特に意識が高いわけではありませんが、夏に入って意識が一段か二段低くなったような気がします。『急ぎじゃないし、明日でいいや』とかね」

 なるほど、ですが意識が低いというのも案外悪くはないかもしれませんよ。

「どういうことですか?」

 最近読んだ本の受け売りですけどね、めっぽうおもしろいんですよ。

「何という本ですか?」

 ぱやぱやくん「社会という『戦場』では意識低い系が生き残る」です。

「タイトルも著者名もユニークですね。どんな本ですか?」


 著者のぱやぱやくんは元幹部自衛官です。退職後はあらゆる場面で真剣勝負の人生を生きようとしたところ、ある時こう気づいたのだそうです。

社会は茶番劇の連続で、適当な人で、世の中は溢れている。(P.4)
実際の戦場とは異なり、現代社会という「戦場」では、真剣勝負は「ここぞ」という場面までしてはいけないのです。(P.5)

「真剣勝負をしちゃいけないんですか?」  

 ここぞという場面までは、ね。そしてそのための詳しいノウハウを説いたのが本書です。

「例えば、どこでどう意識を低く持てということなんでしょうか?」

 この本は各章・各項目が基本的に独立していて、例えば「結論→理由→具体例」のような流れで書かれているわけではないんです。そのためあまり詳しくお話しするときりがないので、全体のキーとなりそうな部分を中心にお話しします。

・社会は茶番
・負けないためには戦うな
・撤退はよい、敗走はするな

社会は茶番

 著者はあるときTVに出演した経験から「日本社会は真面目なようで真面目じゃない」と考えるに至ります。

「それが茶番、ということですか?」

 ええ。ただ、すべてが茶番とまでは言ってません。

人生とは「偽物だらけの中から真実を探す作業」であり、そのためには、いちいち全てのことにマジになっている場合ではないのです。一方で、「自分が大切だと思っていること」は、絶対に「茶番として受け流す」のはやめておきましょう。(P.30)

大切なことを全力で大切に扱うためにはそれ以外のことをそこそこであしらえ、ということでしょうか」

 はい。そしていわゆるメンタルの強さについて

陸上自衛隊で「メンタルが強い」と言われている人たちは、「真剣モード」と「適当モード」の切り替えがかなり上手です。(P.135)

と述べて、車の運転中を「真剣モード」、後部座席でリラックスしている時を「適当モード」の例として挙げています。

「つまり、その『適当モード』でかまわない時が意外と多い?」

 さすが美濃さん、その通りです。本書の例で言えば「嫌な上長の指摘を真に受けない」(P.136)とかね。

「ははは、それはぜひ実行したいです」

負けないためには戦うな

 世の中では嫌な相手や自分に対して攻撃的な相手に出会う場面が、どうしても多少はありますよね。

「ええ、私も覚えがあります」

 そういう時、著者は負けないためにどうしろと言っていると思われますか?

「…相手の情報を集めるとか、相手を観察するとかでしょうか」

 著者は「負けないためには戦うな」と言っています。

相手の挑発に乗って、相手の土俵で戦うことになった時点で、残念ながら、あなたの負けは確定してしまいます。(P.104)
そもそも戦いが発生するということは、誰かが必ず不幸になってしまいます。(中略)つまり、戦いが発生した時点で、結果として「誰も幸せにならない」のです。(P.105)

「それはそれで分かるんですが、どうしても戦いが避けられない場合もありますよね? 例えば職場でセクハラを受けてそれに立ち向かいたい時とか」

 そうですよね。そんな時は速やかに行動に移せ、ただし何のために戦うかを必ず明確にしろとも言っています。

戦いは「相手がムカつくから」始めるのではありません。基本的に、戦いとは「自分の尊厳を守るため」や「自分の大切な権利を守るため」に行うものです。(P.107)

 そして、そこを見失わないためにひとまず頭を冷やすということも提案しています。

「なるほど、そう考えると分かりました」

撤退はよい、敗走はするな

「その違いがよく分からないので、ご説明いただけますか?」

敗走は部隊が壊滅し、散り散りになってしまう状態。撤退は、いったん前線を下げて自軍の戦力を整え、再度戦う準備をすることです。(P.109~110)

 美濃さんはジムでボクササイズのレッスンを受けておられましたよね? ボクシングで言えば同じ後ろに下がるのでも、相手に背中を見せて逃げるのが敗走、相手を睨み据えたままいったん距離をとって自分の戦いやすい位置に立つのが撤退と考えればどうでしょう?

「ああ、それならイメージできます」

 そして敗走について著者はこう書いています。

たしかに、嫌なことからは逃げるのが、一時的に有用なこともあります。しかし、逃げ続けた先に待ち受けているのは「誇りを少しも持つことのできない自分だということは忘れないでください。(P.250)

「…後ろに下がった後の自分に誇りを持てればそれは撤退であり持てなければ敗走、と考えればいいでしょうか」

 私もそう解釈しました。敗走しないためにも必要なら撤退をためらうな、ということでもあるでしょう。

感想

「なにわt4eさんは読んでどう思われましたか?」

 生死を隔てる一線に自ら身を置いていた元幹部自衛官のサバイバル術が、こういう意識が低くてゆるいものであることがとても意外で、またおもしろいと思いました。いや、そういう人だからこそあえて日頃はゆるく考えるようになったのかもしれませんね。いざという時の力と緊張感を最大限に高めるために。
 あと偶然でしょうけどおもしろいことに、以前ご紹介した野瀬大樹「お金儲けは『インド式』に学べ!」(←本ブログの紹介ページへ飛びます)との共通点があるんですよ。

「本当ですか!? どんなところですか?」

たとえ、失敗をしたところで、心の苛立ちや、失われた名誉も、1年もすれば元通りになります。そして、いつの間にか「なんで自分は悩んでいたんだろうか」と思える日はやってくるのでしょう。(P.240)

 野瀬氏も、今抱えている悩みがどれだけ深刻に思えても5年もすれば「なんでこんなことで悩んでたんだろ」と思えるものだよね、とインド人会計士に話したら彼は5年どころか1年だと笑った、という趣旨のことを書いているんですよ。(「お金儲けは『インド式』に学べ!」P.136~138)

「そう言えばあの本も、どちらかと言えば意識低めでは?」

 ある面ではそうですよね。それから、幸せアピールの強い人ほど本当に幸せかどうか怪しいものだと指摘したのち余談としながらもこんなことを書いているんです。これにはニヤリとしましたね。

テレビの番組について思い返してみると、日本が豊かだったときには「日本人は、ここが変だ!」というのを面白がる番組が、多数放映されていました。その一方で、最近では「日本は世界で愛されている」とか「日本は素晴らしい」などと自画自賛系の番組が増えているようにも、私には思えます。これがある種の「幸せアピール」でないことを信じたいばかりです。(P.146)

「ははは、仮に皮肉として書いてるとしたらそうとう辛辣な皮肉ですね」

 ともあれ、高ストレス社会に生きる私たちとしては主に肩の力を抜くため、時には自分のお尻を蹴飛ばしてもらうために、一度は読んでおきたい本ですよ。まあ、一度読んだら二度三度と読んじゃうでしょうけど。


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この記事を書いた人

名もなき大阪人、主食は本とマンガとロックです。

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