『ダークホース』~これからの成功ってなんだろう~
「好きなことだけして成功できる!」
そう聞いたら、あなたはどう思いますか?
「それができないからみんな苦労してるんでしょ」
「そんなの、特別な才能がある人だけだろ」
そう思いますか? それとも、
「本当に好きなことだけして成功できるの? ちょっと気になる…」
そんな風に思うでしょうか?
好きなことだけして成功するための、誰にでもできる方法が、本書『ダークホース』の中にちゃんと書かれているんです。それも、一か八かの大バクチに出るようなやりかたじゃありません。きちんと手順を踏めば誰にでもできる方法です。
「それ、どんな方法なの?」
そうですよね、そこが一番気になりますよね。一緒にそこを見ていきましょう!
こんな方には特におすすめです。
・楽しいことして生きていけないかなあ…と思う方
・毎日にワクワクを感じたい方
・「大きな夢を持て!」と言われると何となくモヤモヤする方
※お断り
本記事は、あくまで書籍『ダークホース』の内容をご紹介する書評です。効果を保証するものではありません。そのかわり、怪しげな情報商材のセールスとか自己啓発セミナーの勧誘とかでもありません。「この本にはこんなことが書いてあるんだな、おもしろそうだから読んでみよう」と思っていただければ幸いです。
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美濃達夫さんとの会話
(架空の人物・美濃達夫さんに本書をご紹介する、という設定で書いております)
「なにわt4eさん、好きなことだけして成功する、という内容の本をご存知ですか?」
ああ、もしかして『ダークホース』ですか?
「それだと思います。先日ジム帰りにお気に入りのラーメン屋に入って、カウンターで肉みそラーメン食べてたら少し離れた席の客がラーメン待ってる間に本を読んでたので、何気なく表紙を見るとそんな風に書いてあったんです。で、本当にそんなことできるのか? と思うのが半分、どんなことが書いてあるのか興味津々なのが半分、という訳です」
なるほど、確かに目を引かれますよね。私も本屋さんの棚で初めて見た時は思わず二度見しましたよ。
「私もです。危うくその客ににらまれるところでした」
ははは、それは危なかったですね。そんなことにならないように、ご紹介しましょうか。
「お願いします」
概要
まずお断りしておきますが、本書は著者二人が頭の中だけで考えた理論を書き連ねたものではありません。ハーバード大学のプロジェクトとして、様々な分野の成功者・第一人者を調べつくしたうえで書かれたものです。
そんな本書には「標準化」「個別化」というキーワードが繰り返し出て来ます。二つのキーワードを私なりに要約するとこうです。
・標準化:誰にも同じ条件があてがわれ、誰もが同じコースを進み、その中で優劣を競う。
・個別化:誰もが自分に適したやり方で、自分に適したコースを進む。
著者二人は製薬会社やハンバーガーチェーンを例に挙げて、「モノづくりにおける標準化がやがて人間や教育にも適用された。しかしアマゾンやネットフリックスが気持ち悪いほど正確に一人一人へのおすすめを提示するように、時代は個別化へと進んでいる」と述べます。
そこで個別化の時代に有効な成功の方法を説いたのが本書『ダークホース』です。
約一世紀もの間、ほとんどの研究者が、成功に関する画一的な理念だけを探求してきた。もっともらしい質問を執拗に繰り返していたのだ。
「成功を収めるのに、最善の方法は?」と。
(中略)私たちは少しだけ違う質問を投げかけた。
「あなたにとって、成功を収める最善の方法は?」と。(P.34、太字や傍点は原文のまま、以下同じ)
ダークホースとは「あなたにとって成功を収める最善の方法」で成功した人々です。
ダークホースたちの例
「本の中でダークホースの実例は挙げられてますか?」
ええ、もちろん。何人かご紹介します。
・ジェニー・マコーミック
高校中退のシングルマザーで将来の見通しも暗かったが、ある時星空の美しさに魅せられたことをきっかけに天文学を独学し、お手製の天文台を作るに至る。その5年後、アマチュアとして初の新惑星発見という快挙を成し遂げた。その後も天文学者として活躍を続ける。
・スーザン・ロジャース
少女時代は家事一切を押しつけられ、結婚すればしたで夫のDVとモラハラに悩んだ彼女は音楽に慰めを見出した。レッド・ツェッペリンのコンサートがきっかけで音響機器の保守技術者を志した彼女は音楽大学の受付係として働きつつ独学を重ねる。新聞の求人広告で得た見習い技師の仕事からスタートし、やがてプリンスやイーグルスなどとの共同作業で勇名をとどろかせ、バークリー音楽大学の教授にも就任した。
彼らは、「大学で天文学を学び、教授のもとで研究を重ねて天文学者として独立する」「大学で音響技術を学んでレコード会社に入り、エンジニアやミュージシャンと人脈を作って仕事を得る」と言ったような一般的に考えられるルートをたどりませんでした。あるいは、たどることができませんでした。その代わり、自分に適した戦略で自分の好きなことをやり続け、結果として成功を収めたんです。
「それで言うと、いつかご紹介いただいた『闘う女。そんな女のこんな生き方』(←本ブログの紹介ページへ飛びます)の下関崇子もダークホースかもしれませんね」
あ、本当ですね。ダイエット目的でキックボクシングを始めたら次第にのめり込んで、いつの間にかタイに渡ってプロのムエタイ戦士になってた人ですから。
充足感って?
本書にはもう一つの重要なキーワードがあるんですよ。
「それは何ですか?」
「充足感」です。本書のすべてを言い表す一言かもしれません。充足感って何だ? という定義は「心が満たされてワクワクする感覚」くらいに考えればいいでしょう。重要なのは以下の一節です。
ダークホースたちは「何かに成功すること」で充足感を得たのではなく、「自分自身にとってかけがえのないことに熱心に取り組むこと」で充足感を得たのだ。(P.41)
「すごく単純な解釈かもしれませんが、前者だと成功にたどり着かない限り充足感は得られない、それに対して後者は成功にたどり着く前から常に充足感を得られる、だから人生にも満足できる、というように読めます」
事実そういうことだと思いますよ。そして成功できたら、その時もやっぱり充足感を得られるでしょう。
ダークホースの戦略
「先ほど、『戦略』という言葉が出て来ましたね。ただ好きなことをするというのとは違うんですか?」
いや、私の解釈ではありますが非常に大ざっぱに言えばそういうことです。そして「好きなことをして成功する」ために重要な、以下の方法や考え方が紹介されています。
・小さなモチベーションを見つける
・「確率」ではなく「フィット」を考える
・試行錯誤で自分に適した戦術を見つける
・目の前にあることに集中する
小さなモチベーションを見つける
「小さなモチベーション?」
自分がどんなことにやる気を抱くかということですが、著者はこれをかなり細かくとらえています。
ダークホースたちは、「競争心」や「創造性の希求」のような(よく褒めそやされる)普遍的で漠然とした動機とは対照的に、きめ細かく特定された、自分自身の(いわば偏った)好みや興味に突き動かされていたことを明らかにしている(P.92~93)
本書から一例を挙げますと…。
・ソール・シャピロ
彼は物をまっすぐに並べることが大好きで、手先は木工デザインの教授が驚嘆するほど器用だった。技師となって会社に多大な貢献をし、中間管理職になったもののこれは「物をまっすぐ並べる」「手作業をする」などの小さなモチベーションとは合わなかった。のちに家具修理のフランチャイズ店を開き、今度は大成功を収めた。(P.93~98)
デザインが好きとかテクノロジーが好きとか言うより、さらにその根本にあるモチベーションが大切だという訳です。 他にも、借金の取り立て人を見て気分がよさそうだと思うならそこにはどんな小さなモチベーションが考えられるかを著者はこんな風に考察します。
あなたを活気づかせるのは、追っ手をまいて逃げようとする人を捕まえることだろうか? それとも、フェアプレーの使者として正義を行使することだろうか?(P.101~102)
「何となくイメージができました。今の例だと前者なら刑事や探偵、後者なら裁判官や審判になっても充足感を得られそうですね」
そうですよね。借金取りを見て気分がよさそうと思うのは同じでも、何に充足感を得られるのかは細かく考えるとこんな風に違うのがとてもおもしろいと思いました。それを見つける方法を著者は「判定ゲーム」と呼んで解説しています。(P.99)
「確率」ではなく「フィット」を考える
フィットとは「あなたの個性とあなたを取り巻く状況が適合すること」(P.117)です。「このルートは成功する確率が高いかどうか」ではなくフィットという観点から「このルートは自分に合っているか、充足感を得られるか」で選択するのがダークホースのやり方であり、それこそが最も安全な選択でもあると著者は述べます。
フィットすればするほど機会は低リスクになり、フィットしなければしないほど機会は高リスクになる。(P.129)
「世間では安全と言われてるからって自分に不向きな道を選んで成功できるわけないじゃん、ってことですか」
見事に要約されましたね。
試行錯誤で自分に適した戦術を見つける
いよいよ具体的に、選んだルートをどうやって進むか? という戦術の問題です。
初心者の多くは、こう尋ねる。「どの戦術が一番良い?」(中略)戦術を使う人間の個性を考慮に入れずに、どの戦術が最適か判断できるわけがない、と。(P.153)
「自分に合った戦略を見つける」ことは、誰か上の人から教えてもらった上達法ではなく、自分自身の強み(strength)を案内役にして、独学法やトレーニング方法や習得法を探し出すことだ。(P.154)
ダークホース的な考え方では、戦略を選ぶことは、どのように試行錯誤するかという問題である。(P.164)
一人一人違う人間であり強味も違うんだから誰にでも通用する戦術なんてない、いろいろ試して自分用の戦術を見つけろってことですね。その例として、マスターソムリエ試験に挑む人たちとその戦術が紹介されています。
目の前にあることに集中する
著者二人は、遠くの目的地を見据えるのではなく目の前の目標に集中しろ、と言います。
名人か素人かは、先読みできる手の数で決まると思う人さえいるかもしれない。
実は、たいていの上級チェスプレイヤーはそういう戦い方をしない。彼らは一手に集中するのだ。次の、思いきった一手に。(P.192)
「大きな夢を持って逆算思考で今やるべきことを考えろ、そしてそれを実行しろとよく言われますが、そうじゃないんですか?」
むしろその反対です。目の前の目標をクリアしようと努力したり、実際に達成したりするたびに視野が広がって自分の強みをさらに生かす別な選択肢が見つかる可能性が高いからです。
「そう言えば先ほど『試行錯誤』という言葉が出て来ましたね、試行錯誤には新たな発見がつきもの、と考えると何となく分かります」
試行錯誤には新たな発見がつきもの、確かにそうですね。美濃さんに言われて改めて気がつきました。
本書は序章・第1章~第7章・まとめからなっていて、ここまでご紹介した内容は第5章までにあたります。第6章以降は社会の現状や未来の展望といった内容なので、そこは本書に譲ります。
感想
「なにわt4eさんは『ダークホース』をどう思われましたか?」
もう、とにかく「ワクワク」の一語に尽きます。ダークホースの具体例も、なるほどこういうことに喜びを感じているからこの人はこういう仕事をしているのか、という点がおもしろかったですね。
「小さなモチベーション」という考え方も、私にとってはとても興味深かったです。自分はどういう人間かを考えるのが好きなもので。だから例えば「自分は形のないものを扱うのが好き」とか「隠れた魅力を掘り起こすのが好き」という自分の小さなモチベーションを発見するきっかけになった意味でも、この本を読めたことは貴重な経験になりました。
もう一つ言うと、「遠くの目的地を見据えるのではなく目の前の目標に集中しろ」という考え方にはとても心強い思いがしました。
「心強い、とおっしゃいますと?」
私はいわゆる逆算思考が苦手で、むしろ「今やってるこれを積み上げていったら、どんなところにたどり着けるんだろう?」と考える方がワクワクするんですよ。
「そうなんですね。でも今、自己啓発的な文章とか動画とかでは逆算思考が主流ですよね」
おっしゃる通りです。だから自分のそんな傾向に自信が持てなくて、そこへ本書がその逆を主張しているので心強く感じるんです。
「お話をうかがっていて、私も何だかワクワクしてきましたよ。今度本屋さんで探してみます」
ええ、おすすめします。
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